vol.4

木のひげ

31年間、同じパンを作り続けています

天然酵母パンとの出逢い

 大学卒業後、多摩市内の保育園で保父として働いていた牟田口さんはその後、本屋での勤務を経て、日本初の自家製天然酵母のパン屋「ホルビック・ルヴァン工場」で勤務することになった。
 当時の牟田口さんは「パンよりもご飯派で、とりわけ玄米が好き」さらに「パンは一度も作ったことがなかった」という。
「ホルビック・ルヴァン工場」ではフランス人のピエール・ブッシュ氏の指導の下、干しブドウから自家製天然酵母を起こして天然酵母のパンを作っていた。牟田口さんは「最初はパンを上手く焼くことができるかドキドキしていました」と当時を振り返る。しかし仕事に慣れてくるにつれて心配よりもむしろ技術を獲得することに喜びを感じるようになり、最初は午前9時出勤だったのが、自ら希望して午前7時半に出勤、さらに午前6時、午前5時と出勤時間を早めて、他のスタッフが午前9時に出勤した際には全てパンが出来上がっているという状況になった。
 こういう状況を一年間くらい続けた所で、ピエール氏に「そろそろ独立した方がいいよ」と勧められて独立することを考えるようになった。

最初は夫婦二人でのスタートだった

 いざ独立しようにもまだ若く、資金もほとんどなかった牟田口さんにピエール氏は「最初から新しい店舗や備品を揃える必要はなく、中古で十分だろう」とアドバイスをしてくれた。そこでパンを焼くオーブン一式は中古道具屋から格安で購入して、工房の建物は元商店だった中古物件を安く借り入れた。
 日野市落川に夫婦二人のパン工房をスタートしたのは1983年の10月のことだった。ちょうど焼き立てのパン屋「ポンパドール」が横浜に出店して話題になっていた頃で、もちろんハード系のパンなどはほとんどの人たちが口にしたことのない時代だった。
 最初は近隣の自然食品店や保育園などに卸すだけだったが、ある時「自然食品店」のイベントに出店した所、「自然食通信」の記者が気に入って記事を書いてくれた。その記事がきっかけとなって知名度が上がって、全国から注文が来るようになり、次第に「お取り寄せ」して下さるお客様も増えて来た。
 さらに当時多摩市内で活発に展開していた「多摩生協」をはじめ、販売してくれる都内の自然食品店も多くなり、生産数が一気に増えて、夫婦2人での製造では追い付かなくなったために、アルバイトやパートさんを雇い入れるようになった。商品アイテムも増えて、製造のための場所がかなり手狭になってしまったので、2007年に多摩市愛宕に工房を移転した。その際に工房直売店にはカフェも併設した。現在7名のスタッフの内、4名は移転前からのメンバーで、勤務年数10年から20年のベテランが揃っている。
 多摩市は牟田口さんが若い頃に家族と暮らしていた思い出深い街で、緑が多く交通の便が良い所が気に入っているという。

パンの声を聴く

 「木のひげ」が開店して今年で31周年になった。この31年間、パンの材料も製法も全く変えていないのだという。
 パンの材料は小麦粉、塩、水、そして干しブドウから起こした自家製天然酵母のみである。牟田口さんはピエール氏の「パンは主食なので甘くてはいけない」そして「小麦は噛みしめるほどに甘くなる」という教えを忠実に守って、イーストフードや砂糖などは使用していない。「おいしさの秘訣は何も足さない、何も引かない」ことだという。
 さらにおいしいパンを焼くためには「パンの声を聴く」ことが大切だという。毎日、変化する気温や湿度さらには酵母の変化を見つつ、パンが訴える「そろそろパンの成型をした方がいいよ」「そろそろ釜に入れた方がいいよ」などの“パンの声”を聴きながら、それに従って作業を進めているのだという。パンの原材料は安心して食べられるものだけを使っており、「その為に商売としては困難な面もあるけれど妥協はしたくない」とぶれることがない。
 現在「木のひげ」のカフェではオーガニックのコーヒーや紅茶などの他に手作りのスープやグラタンとパンのセットなどを提供しているが、今後は“パンによく合う惣菜”なども販売していきたいという。「最近、一人暮らしのお年寄りや若者たちが添加物の入ったお弁当を食べて栄養が偏りがちになっているという話を聞くので、そういった人たちに安心して食べてもらえる食材や惣菜を提供して行けたらと思っています」と牟田口さんは語る。
 地域に根付いて31年間変わらないパンを地域の人たちの為に焼き続ける。その信念の強さ故に「木のひげ」のパンは変わらぬ美味しさを保ち続けることが出来るのだろう。

店名
自家製天然酵母パン「木のひげ」
住所
〒206-0041 多摩市愛宕4-9-7-102
連絡先
042-313-9208
営業時間
10:30 – 19:00(金曜日は18:00まで)
定休日
毎週日曜日/年末年始、夏期、5月、6月にもお休みがあります
店長 牟田口嘉典

今年60歳になる牟田口さんは「そろそろ若い世代にしっかりと技術を伝えていきたい」と抱負を語る。


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